the 雑念

葉一用。とりあえず日記

5/10 同期氏「この世界は間違っている、といつも思っていたが今日その歪みのようなものが明確に分かった。まずお前の存在な」僕「ソレスタルビーイングされちゃう」同期氏「俺は……嫌だね……」

【テストについて】

全然知らなかったのだが、テストで悪い点数を取ると研修所の掲示板に名前が張り出されるシステムであるらしい。「ふーん、そうなんだどれどれ見てやろう」と自分が絶対にそこに乗らないだろうことを確信したついでに好奇心でそれを覗いたのだが、知り合いの名前がちらほら見つかったりした。その隣に今回の成績優良者、という張り出しがあり、そちらも名前が張り出されているようだった。

私の名前が書いてあった。

テスト前日にディメンションWを読み漁り、出題範囲を間違えて覚えていた私は、当然そのように同期に話をしていた、わけである。「いやー、漫画読んでたし気付いたらテスト範囲違うし、今回ダメダメでしょー」みたいなことを言っていたのである。完全に悪いタイプの前フリと化してしまった。居た堪れない。そもそもテストの点数差がつきにくい構造の配点であったのが問題だったのではないだろうか、などと問題提起をしたところで最早私に発言権はないのである。何を言ったところで「よういち君って……」となってしまうのは明らかだ。しかしながら、これは偶々、選択肢や記号、あるいは当てずっぽうで書いた何かしらが思いの外正解してしまっただけの結果なのである。残念ながらそれを信じてくれる人はまずいない。

私の居室には毎週買っているジャンプが積まれている。親しい同期であれば、私が月曜日にコンビニでジャンプを買って、一通り楽しんでから同期に貸し与えていることをみな知っている。その大元が成績優良者。成績優良者という言葉は今や呪いである。周囲はからかい半分に「あ、成績優良者のよういちさん、今週もジャンプ貸していただけますでしょうか」みたいな距離感になっている(絶対に許さない)。私は重々しく頷き「よかろう」と言って民衆にジャンプを貸し与えるのである。

最初の中間テスト(のようなもの)で成績優良者になってしまうと、そこからの戦いは過酷なものとなる。それは高校までの人生でよくわかっていることだ。今回頑張ったけれど上位からこぼれた誰かとの、意図しない戦いがどこかでひっそりと始まっているのである。私はいつものようにその最前線に不用心に躍り出てしまった形になる。そう、頑張っている人がいるという事実に対して私は限りなく不誠実な人間なのである。休日に漫画を読む、規則スレスレのジャンプを買う、昼休みにはソシャゲのイベントを走る、私はそんな奴なのだ。休日に勉強をし、時間外に質問を重ね、昼休みに講義のメモを覚える、そんな人もおり、残酷なことにそんな人は大抵成績が優良ではないのである。しかしながら、頑張っている人はそれなりに得をしている。上司に名前を覚えられ、意欲を買われ、その後、勉強した内容を身につけていくのである。結果よりもそこからのプロセスにつながるのだ。今をのらりくらりとやり過ごしている私よりずっと得をすると思うのだ。当然のことながら、そんなことは思っていても口に出してはいけないのである。新たな火種を撒かないよう、私は目を瞑り、「これは偶々なんだよ」と言い続けるほか取るべき手段はないのだ。偶然とは便利な言葉である。