the 雑念

葉一用。とりあえず日記

3/4 好きな漫画は何?って聞いたら『ビリーバーズ』って即答する女の子となら結婚したい

TSUTAYAについて】
5年ぶりにTSUTAYAに行った。
〜回想〜
5年前のある日、私は研究室でファミマのエクレアを食っていた。レジが混んでいたので、ビニール袋にレシートとTカードを入れて足早に退店したのだが、それらを財布に戻すことなく、ついにはエクレアの空袋と一緒にゴミ箱に捨ててしまったのであった。
〜回想終わり〜
かくしてTカードを紛失した私は、TSUTAYAに行かなくなったのであった。社会人になってからはAmazonプライムのおかげもあり、そもそもDVDをレンタルする時代は終わったのだとさえ思っていた。だが不思議なことに、あの膨大なAmazonプライムのラインナップにも飽き、無限に見続けてしまう空虚さ・無為さに耐えかね、結局再度TSUTAYAを利用することとなった。
というのも、ロード・オブ・ザ・リングスペシャルエクステンデッドエディションを観たかったのである。先日『指輪物語』を読み終えた記念に映画を見ようと思ったのだが、このなんたらエディションの方が未公開シーンも多く、優れていると評判だったからである。Amazonプライムは優秀であるが、このような「特別枠」「追加版」などにはやや不向きだ(それにしてもスペシャルエクステンデッドの響きは一種異様である)。
さて、5年ぶりにTSUTAYAに入店したが、まずTカードを作り直すという厄介な仕事があった。この面倒さを避けてTSUTAYAを利用しなかったと言っても過言ではない。申し込み用紙を探す。大抵こういうものはレジ横にあるものだ。と徘徊すること約5分、全く見つからない。そもそもレジがフルオートなので店員がレジ付近にいないのである。帰ろうかな、と思った。しかし私は既に7km近く自転車を漕いでいたので、ここでケリをつけたい気持ちの方が最終的に勝った。DVDをあるべき場所に戻すという尊い仕事をしている店員の背後から、襲い掛かるように声をかけた。
「Tカード作りたいんですけど」
「は?」
私と店員の間で世界が静止した。その瞬時、私の脳内に去来したのは友人が『眼鏡市場で『JINS PCをください!!』と叫んでしまった』というエピソードである。即ち、ここはTSUTAYAではない?まさか?
しかし私は目の前の店員があのTSUTAYA特有のクタクタになったポロシャツを着ているのを見て考えを改める。最悪ブックオフの可能性があるのではないかとも思ったが、やはりここはTSUTAYA。紛うことなきTSUTAYAのアトモスフィアに満ちている。私は勇気を出して再度チャレンジした。単純なコミュニケーションの問題は要するに単純なコミュニケーションの回数の問題であるはずだ。
「Tカードを失くしてしまって、新しく作り直したいのですが」
「わ、わかりました。店長呼んできますね」
私は不出来な生徒よろしくレジ横に立たされ、会計客の見世物にされることとなった。私はぼんやりとなぜ店長(店長とはつまり、店で一番偉い人なのである)という権力者とやり取りしなければならないのか、ということについて考えていた。それはまず、店員とのディスコミュニケーションにヒントがあるのではないかと考える。
思うに、日本でTSUTAYAに入店するほとんどの人間は既にTカードを持っているのではないだろうか。何らかの方法で入手した、もしくは天賦のTカードがあり、店頭でTカードを作成する人間はいないのでは?だから店員はこう思ったのだ「この人、TカードないのにDVD借りにきたの……?」と。
恰幅の良い店長が愛想よく対応してくれて、即座にTカードは発行された。様式は記憶していたものと大差なく、デザインも失くしたものと同じだった(ただし年会費のことを忘れており、支払い時に少し面食らった)。
「アニメとコラボしてるデザインのTカードもありますが」
店長は如才なくリコメンドしてくれたが、生憎近所のドラッグストアで使うのにはハードルが高いので諦めた。ありがとう店長。目的のロード・オブ・ザ・リングを探すこと20分、ようやく特設コーナーにあるのを発見し、帰途についた(その途中、ウテナ劇場版とペルソナ3劇場版も借りた)。
やはり5年間も遠ざかっているとかなり使い勝手が違うので何事にも驚かされる(VHSがない、セルフレジ、セルフTSUTAYA袋など)。今度は誰にも特集されないホラーなんかを借りてみようかな、と思うのであった。

【就活について】
弟が本格的に就活を始めた、らしい。らしいというのも、弟はやや特殊な技能と知識があり、私とはまた別のベクトルのマニアックな仕事をすることになりそうなので通常の就活とは異なる期間、異なるアプローチで始まり、そのうち終わるということだそうだ。私も弟も履歴書(昨今はエントリーシートと呼ぶらしい)を作るのも面接も下手くそなので、結局のところマニアックな人々がマニアックなことをしているマニアックな集団に帰属することになってしまうのだが、まあそれも仕方がないのだろう。
ところで私はいわゆる普通の就活をしたことがない。現職に至ったときには普通の就活をしたように思ったのだが、実際にはそうではなかったようだ。だから大卒者の就活事情のようなことにひどく疎い。そもそも、私の人生の重要な部分は仕事にはないので、金銭を得る手段としての仕事というニュアンスでは企業に採用され難いようであると知り、信じられないという思いだ。会社が個人の人生全体の面倒を見る(だからあなたも会社に尽くしてね)、という前時代的な背景を感じるが、私は不況に生まれ、不況を日常として青少年期を過ごした人間であるので、こうした信仰を持っていない。私達世代の就活はこうした世代間のギャップに直面しているからきっと違和があるのだろうな、と思う。企業に残留した人々は、まだそうした信仰の中で生きられるからこそ企業に残留しているわけである。
そんなこんなで私は就活を知らないし、世間一般の仕事のありようも知らないまま今日まで生き延びてしまった。残念ながら弟に対するアドバイスはない。多分、弟もそうなると思う。どうも我々兄弟は「一般」から外れたいという強い欲求があるように思えてならない。弟はさておき、私自身は普通に生きたいのだが、ままならないものだ。