【仕事について】
研修と実務がかけ離れてしまう、ということは古今を問わず往々にしてあることらしい。お金をもらっているのだから何でも粛々とやる、というのが私のスタンスではあるが必ずしもそれを受け入れているという訳ではない。大概、人間の考えてやることなど総ての事柄が無駄なのだから、逐一それを口に出しても仕方がないのだ。
という心境を誰に話す訳でもなく、上司に言われたことを従順に聞き、上司のいないところで同期と悪態をつき、1人になれば布団に引きこもり漫画を読む。そのサイクルがあれば私には十分なのである。が、周囲はそうはいかないらしい。
この休日で在寮組の中での対立はより一層激しさを増し、帰ってきた時の私は完全に浦島太郎の状態であった。曰く、研修課題(これが厄介なことに班割りで完成させなければならない課題である)をどのくらい真剣に取り組むか、という抗争であるらしい。「上司に怒られたくないから絶対に全員で完成させるぞ派」「作るのは良いがお前にだけは絶対に命令されたくない派」「協力は美徳派」「なんでそんなマジになってんの派」「話しかけんな派」「どうでもいい派」こんなところであろうか。ちなみに第三者からの私の分類は「自分のところ割り当てられたらちゃんとそこはやるよ派」である。だが、総ては概ねどうでもよいことなのだ。思い返せば、世の中というものは須く虚構なのである。その最たるものが仕事だろう。仕事がなければ生きていかれない、というのは究極の幻想である。上司に怒られるくらいでは失職しないし、どうでもよいことをどうでもよくなんかありませんよという顔をしながらも内心馬鹿にして難なく取り組みこなしていくのが仕事の真髄であるように思う。研修とは、つまり、そういうことを学ぶところなのだろう。
さて、いよいよ集団力動が崩れ始めた我等が同期達であるがここで体調不良も急増しているようである。先日の業務に引き続き、共用の薬箱から胃腸薬が無くなってしまうなんてことになっている。「胃腸薬のテイスティングもカリキュラムに含まれている」というのは同期のA氏の談だ。洒落っ気があると思って笑ったのだが、言った当人が死ぬほど暗い顔だったのでそれでさらに笑ってしまった。
とりあえず元気ではある。それが一番の重畳である。また一週間が始まり、次は誰がどんな目に合うのか、楽しみであり不安でもある。そんな毎日だ。